1.利益の減少による資金繰り悪化
(1)売掛金回収の遅延による資金繰り悪化
売上至上主義の経営者だと、売上を大きくすることばかりに目がいき、以下のようなことは二の次になってしまいます。
①その売上でどれだけ利益が取れるのか
②売上代金は滞りなく回収できるのかどうか
③売上代金の回収はいつぐらいになるのか
2.急激な売上増加による資金繰り悪化
(1)急激な売上増加が資金繰り悪化を引き起こす
①商品が現金化されるまでの期間
売上が急激に増加すると、現金預金は減少するケースが多くなります。商品を仕入、販売して現金化されるまで、次のようなサイクルになります。
現金 ⇒ 在庫 ⇒ 売掛金 ⇒ 受取手形 ⇒ 現金
②売上増加に伴い増える在庫や売掛金
(2)買掛金の増加による資金繰りの悪化
①支払サイトが長くするよう交渉
②信用不安を招かない
3.在庫の増加による資金繰り悪化
(1)資金繰り悪化の要因となる在庫や売掛金
商品が売れて現金になるまでには、次のようなサイクルになります。
現金 ⇒ 在庫 ⇒ 売掛金 ⇒ 受取手形 ⇒ 現金
(2)在庫回転機関の見直し
商品が在庫として留っている期間によって、現金が再び現金になるまでの期間が異なります。在庫としての期間が長いと当然、資金繰りは悪化していきます。
商品が在庫として、どれくらいの期間留っているかをあらわすのが「在庫回転期間」です。在庫回転期間は、次の算式で求められます。
在庫回転期間 = 在庫金額 ÷ 月間仕入額
4.返済能力を超えた借入金の返済
(1)借入金早期返済が招く資金繰りの悪化
キャシュフロー > 返済金額
(キャシュフロー = 当期利益 + 減価償却費)
(2)無理な設備投資による資金繰りの悪化
①資金繰りに悪影響を与える効果の無い設備投資
②自社ビル、自社店舗の所有による資金繰り悪化
5.経費を管理しないことによる資金繰りの悪化
(1)利益が出て資金が回ることによって成立する企業活動
①必要な経費かの確認が必要
当然のことですが、経費を無駄遣いする会社は、資金繰りが悪化します。経費を無駄遣いしていないかを確認する方法は、経費の支払い一覧表を作成し、その内容について一つ一つ確認していくことです。
これで無駄な経費が見つかれば、そのような経費は削減していく努力を行います。
この経費は会社を維持させるために必要なものだったかどうか
この経費は会社を成長させるために必要なものだったかどうか
②投資の効果測定が必要な広告宣伝費
③節税による資金繰りの悪化
(2)貸付金による資金繰りの悪化
①会社と経営者個人間における貸付
②借入金と貸付金の違い
会社から個人への貸付金は、将来、会社に戻ってくる可能性が高くありません。金融機関は資産としての価値が無いと判断すると、会社の純資産から差し引いてしまいます。
一方、会社の資金繰りがうまくいかず、やむなく経営者個人が会社に貸付を行う場合には、会社が個人から借入れているということになります。決算書上では、個人からの借入金として計上されます。
6.設備投資による資金繰りの悪化
(1)固定資産と資金調達分析で投資のバランスを知る
固定資産は長期間にわたって企業活動に利用され、企業発展の基礎になる資産です。これに投下される資本も当然に固定され、回収には長期間を要することになります。したがって固定資産は、自己資本によって調達されていることが堅実かつ安全ということになります。しかしながら、自己資本ですべてを調達することは困難であり、日本の中小企業の多くは自己資本に加え、長期借入金で調達しているのが実態です。
(3)借入金返済分析で資金余裕度を知る
①借入金返済力分析とは
借入金返済力分析とは、債務償還年数が何年かを算出して行います。つまり、現在の銀行借入金額を何年間で返済できる力を持っているかを分析するものです。返済するための財源は、償却前当期純利益(当期純利益+減価償却費)となります。
なお、借入金返済力は、下記のように計算します。
★固定資産と資金調達分析のポイント
①現在の借入金残高 200,000千円
②当期純利益 5,000千円
③減価償却費 7,500千円
④借入金返済力 ①÷(②+③)=16年
この16年という年数が良い評価なのかという点については、金融機関のスコアリングシートから、下記の通り債務償還年数のポイントを抽出しました。
|
20 |
17 | 14 | 11 | 8 | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 |
|
1年 以内 |
3年 以内 |
5年 以内 |
7年 以内 |
9年 以内 |
12年 以内 |
15年 以内 |
20年 以内 |
20年 超 |
マイ ナス |
これにより前述の例を評価すると、16年は20年以内に該当し、ポイント目安からは2ポイントと非常に低い評価であることがわかります。
(4)新規設備投資を行う際の判断基準として活用する
例えば新規設備投資を行った場合、
①設備投資の効果で増加した利益、
②設備投資によって増加した減価償却費、
というものが返済原資となります。
★新規設備投資 債務償還年数分析の留意ポイント
①新規設備投資金額 50,000千円
②借入金額 50,000千円
(返済期間10年、年間元金返済額5,000千円)
③新規設備投資効果 2,000千円
④減価償却費 5,000千円
⑤借入金返済力 ②÷(③+④)≒7年
よって、借入金返済力は約7年となり、銀行の返済期間を下回るため、この設備投資は問題がないと評価できます。